美しい本を作る男に関するつれづれ
本好きなら誰しも気になるであろうドキュメンタリー映画、
「世界一美しい本を作る男ーシュタイデルとの旅ー」を見てきました。

原題は「How to make a book with Steidl」。
直訳すると「シュタイデルの本作り」ってトコですかね。
なので正直、最初邦題を見たとき、
「世界一美しい」
っていう言い回しに「う~~~ん・・・」とうなってしまいました。
もちろん原題どおりじゃ全くキャッチーじゃないので、
何かしらアクセントを付けないといけなかったのはよくわかる。
わかるけど、最上級で言っちゃうか、みたいな。
ある意味高く掲げたハードルを
果たしてこの映画はひらりと飛び越えてくれるのだろうか。
不安と期待が混ぜ合わさった複雑な心境で
映画館へ足を運びました。
見に行ったタイミングは
封切り後、まだ1週間しか経っていなかったり、
メディアで取り上げられたことから、
かなり盛況で立ち見が出るレベル。
映画館自体の席数がそれほど多くない、とか
10時台の回を逃すと、次が21時台になる、
という上映時間の問題もあったかと思いますが、
一定の高い関心は呼べたのではないかと思われ。
内容は小さい出版社ながら、ビッグなクライアントを多数抱える
シュタイデルの経営者が、世界中で打ち合わせを重ねながら
本を作り上げていく様子を追ったドキュメンタリー。
映画になるくらいこの出版社の何がすごいのかというと、
企画、編集、ブックデザイン、印刷、製本といった、
本作りの入り口から出口まで、
一貫してシュタイデル社、
もっと言うと、経営者ゲルハルト・シュタイデル自身がその采配を振るうところ。
本作りが一社でほぼ完結してしまう、ということは
「じゃあ、それはちょっとあっちの担当者に確認してみますね」
ということが一切ない。
トップによる決裁だから、打ち合わせでバンバン物事が決まる。
そして、このスピード感だけじゃなくて、
「クライアントと良いものを作りたい」という姿勢があるからこそ、
シュタイデルには世界中からラブコールがかけられる。
「本作り」の映画である一方、
「人とどのようにして信頼関係を構築するか」ということに関して、
1つの見本を示しているようにも思えました。
フライヤーを見ると、主人公は気難しそうな顔つきをしたおじさんですけど、
いろんな人と交わされる会話はウィットに富んでいて、
なかなかチャーミングな人ではないかと想像します。
で。
こうして見終わった結果、
私は邦題にこう、補足したいと思います。
「世界一美しい(方法で)本を作る男」
ここで言う「美しい」は「スマート」に近いニュアンスです。
正直、印刷や造本・製本など、ピンポイントで見ると、
シュタイデル以上に美しい本を作れる出版社はある。
けど、シュタイデルは
最短距離で最善の本を生み出すという
無駄のない作り方をしている上に
クライアントからの信頼を得て、
一定のクオリティを保ちながら、商業ベースで成り立っているってすごいな、とか、
そんなことをつらつらと考えた結果、
「世界一」という言い回しについては、ある程度の納得感ゲットです。
個人的にはここまで何もかも一人で決めたい、とは思わないけど、
こだわりの本作りにはあこがれます。
やってみたいなぁ。
あと「本作り」以外に、注目できるポイントは2点。
ひとつは上述した、人とのコミュニケーション(信頼関係)について、
そしてあともうひとつは、アーティストとの打ち合わせ場面の背景です。
打ち合わせは大抵アーティストの制作現場や自宅で行われるので、
彼らがどんな環境で作品を生み出しているのかが垣間見えます。
都会に住む人もいれば、
片田舎で暮らす人もいる。
雑然とした一軒家に住む人がいれば、
整然としたマンションに住む人もいる。
画面の端々に映る背景から
それぞれのアーティストの個性が感じられて
個人的にはそれを見ているのも楽しかったです。
映画を見た帰りに、青山ブックセンターに寄ったら
作中で取り上げられていた写真集「iDUBAI」が入荷されていました。
この本が出来上がる様子をくまなく映画で見てきたので、
欲しいなぁ、とは思ったけど、お値段が予算オーバー。。。
ということで、見送ってしまったけど、
中身が確認できて、内容と印刷の状態が良かったら買ってたかも。
しかしまぁ、とにかくキラキラしていて、
映画を見ていたら「ニヤリ」とせずにはいられない出来映えでした。
取扱店は少ないと思いますが、
もし見かけることがあったら、
映画を見た・見てないに関わらず
手に取ることをオススメします。
「世界一美しい本を作る男ーシュタイデルとの旅ー」を見てきました。

原題は「How to make a book with Steidl」。
直訳すると「シュタイデルの本作り」ってトコですかね。
なので正直、最初邦題を見たとき、
「世界一美しい」
っていう言い回しに「う~~~ん・・・」とうなってしまいました。
もちろん原題どおりじゃ全くキャッチーじゃないので、
何かしらアクセントを付けないといけなかったのはよくわかる。
わかるけど、最上級で言っちゃうか、みたいな。
ある意味高く掲げたハードルを
果たしてこの映画はひらりと飛び越えてくれるのだろうか。
不安と期待が混ぜ合わさった複雑な心境で
映画館へ足を運びました。
見に行ったタイミングは
封切り後、まだ1週間しか経っていなかったり、
メディアで取り上げられたことから、
かなり盛況で立ち見が出るレベル。
映画館自体の席数がそれほど多くない、とか
10時台の回を逃すと、次が21時台になる、
という上映時間の問題もあったかと思いますが、
一定の高い関心は呼べたのではないかと思われ。
内容は小さい出版社ながら、ビッグなクライアントを多数抱える
シュタイデルの経営者が、世界中で打ち合わせを重ねながら
本を作り上げていく様子を追ったドキュメンタリー。
映画になるくらいこの出版社の何がすごいのかというと、
企画、編集、ブックデザイン、印刷、製本といった、
本作りの入り口から出口まで、
一貫してシュタイデル社、
もっと言うと、経営者ゲルハルト・シュタイデル自身がその采配を振るうところ。
本作りが一社でほぼ完結してしまう、ということは
「じゃあ、それはちょっとあっちの担当者に確認してみますね」
ということが一切ない。
トップによる決裁だから、打ち合わせでバンバン物事が決まる。
そして、このスピード感だけじゃなくて、
「クライアントと良いものを作りたい」という姿勢があるからこそ、
シュタイデルには世界中からラブコールがかけられる。
「本作り」の映画である一方、
「人とどのようにして信頼関係を構築するか」ということに関して、
1つの見本を示しているようにも思えました。
フライヤーを見ると、主人公は気難しそうな顔つきをしたおじさんですけど、
いろんな人と交わされる会話はウィットに富んでいて、
なかなかチャーミングな人ではないかと想像します。
で。
こうして見終わった結果、
私は邦題にこう、補足したいと思います。
「世界一美しい(方法で)本を作る男」
ここで言う「美しい」は「スマート」に近いニュアンスです。
正直、印刷や造本・製本など、ピンポイントで見ると、
シュタイデル以上に美しい本を作れる出版社はある。
けど、シュタイデルは
最短距離で最善の本を生み出すという
無駄のない作り方をしている上に
クライアントからの信頼を得て、
一定のクオリティを保ちながら、商業ベースで成り立っているってすごいな、とか、
そんなことをつらつらと考えた結果、
「世界一」という言い回しについては、ある程度の納得感ゲットです。
個人的にはここまで何もかも一人で決めたい、とは思わないけど、
こだわりの本作りにはあこがれます。
やってみたいなぁ。
あと「本作り」以外に、注目できるポイントは2点。
ひとつは上述した、人とのコミュニケーション(信頼関係)について、
そしてあともうひとつは、アーティストとの打ち合わせ場面の背景です。
打ち合わせは大抵アーティストの制作現場や自宅で行われるので、
彼らがどんな環境で作品を生み出しているのかが垣間見えます。
都会に住む人もいれば、
片田舎で暮らす人もいる。
雑然とした一軒家に住む人がいれば、
整然としたマンションに住む人もいる。
画面の端々に映る背景から
それぞれのアーティストの個性が感じられて
個人的にはそれを見ているのも楽しかったです。
映画を見た帰りに、青山ブックセンターに寄ったら
作中で取り上げられていた写真集「iDUBAI」が入荷されていました。
この本が出来上がる様子をくまなく映画で見てきたので、
欲しいなぁ、とは思ったけど、お値段が予算オーバー。。。
ということで、見送ってしまったけど、
中身が確認できて、内容と印刷の状態が良かったら買ってたかも。
しかしまぁ、とにかくキラキラしていて、
映画を見ていたら「ニヤリ」とせずにはいられない出来映えでした。
取扱店は少ないと思いますが、
もし見かけることがあったら、
映画を見た・見てないに関わらず
手に取ることをオススメします。
- 関連記事
-
- プチリニューアル!
- 美しい本を作る男に関するつれづれ
- 東京アートブックフェア2013に行ってきました
スポンサーサイト
COMMENT
このコメントは管理人のみ閲覧できます